初めての外壁塗装。
初めての塗装体験。
それを飾ったのは、12月5日の栄区鍛冶ヶ谷でのサイディング外壁塗装でした。
長く勤めていますが、入った当初「塗装体験してもらいたいから」、そう言われていて、わたし自身もすごく楽しみにしていた機会がやっと巡ってきたのです。
事務所の近くで塗装をしていたこともあるので、足を運んで見学させていただきましたが、それは完全に遠目に見ているだけ。今回は、実際に足場にのぼり、間近で職人の作業を見させていただくのです。
車に揺られること数十分。現場は普通の住宅街。
当然なことなのですが、普段、写真でしか見てない現場なので、少し緊張しました。
無駄口をたたけば近所迷惑になりそう。そんな緊張です。
現場には、一級塗装技能士の川口さん、星野さん(2014年にさらに上の塗装指導員の資格を会得しました!)そしてここまで連れてきてくださった、曽根カズさんの3人の職人がいます。
カズさんは、なんと塗装職人が初めての会社。川口さんと星野さんは前にも別の塗装会社で働いていたこともあるので、事実様々な事を知っているのですが、カズさんはここが初めてなので、逆に規定以外の塗装を知らないのです。
それはある意味、お客さんと一緒かもしれませんね。わたしたちも、同様です。
しっかりと塗っている現場しかしらないので、知識として色んな話を聞かせていただきますが、しっくりきたことは一度もありません。
女子社員3人、職人3人。自然と、ペアになって動く流れです。
わたし本田は、普段星野さんの施工を中心とさせていただいているのもあって、星野さんにつかせていただきました。
塗装序盤、まずは家をぐるりと養生します。
養生に使うマスキングテープですが、普通に売っている紙質のマスキングテープと変わりありません。
それらをいくつかと、マスカーというビニールとガムテープ幅の粘着の残らないテープが一体になったもの2種類、ラップのように一本になったビニールをバケツみたいな籠に入れて、足場を登ります。
小さい頃から木に登ったりとやんちゃな女の子だったわたしは、苦もなく足場を登ったのですが、よく平気だね、と驚かれたのがちょっと新鮮。
それも、多分くさび足場が頑丈で両足をつける安定感だったからかも。
身をもって「クサビ足場は良い足場だ」と、ひとつめの経験です。
軒と雨樋の境目の養生をしたのですが、養生は、腕を伸ばして見上げての作業。
普段、デスクで画面に向き合っているだけ。背中を丸めて、自分の体と90度にしか腕を置かない、動かしても指先だけのわたしにはそれだけでもとてもしんどい作業です。
ピッ、とテープを伸ばし、親指でしっかりと押さえる。綺麗にまっすぐ手早く貼る作業はとても見事で、とても簡単に見えました。
星野さんがやるのを見ていると簡単に思えますし、学生時代美術科だったせいもあり、マスキングには慣れているつもりでした。
しかし自分が実際やってみると、これがとても難しい。
まずまっすぐ張り付けるのが難しくて、手間取りながら作業をしました。
星野さんは本当にあまりにも簡単にやってしまうものですから、これが技術の差なのか、と思うばかりです。
集水器は、マスカーとマスキングテープで覆ってから、ボスン!と真ん中に指をつったてて穴をあけました。
いきなりあけるのですごい驚いたのですが、星野さんいわく「こうしておかないと雨水がたまってはねちゃって、外壁についちゃう」んだそう。
確かに、体をぶつけた拍子に、雨水が飛んで……なんてこともありかねない。折角綺麗に塗布したところに雨水が飛んでしまうと、変な模様になってしまいます。
水が流れる場所を作って、予想出来る事態を防いでいるんですね。
正直、養生しておいたら(汚れが飛ばないしとりあえずは)良い、っていうところはあるのですが、それだけではやっぱり、これだけの自信と実績はありません。
なんというか、下手なことをしていないからこそ、堂々としておられるのです。
雨樋周辺が終わった後は、庇や下屋根、軒天の下など、塗装するときに下に塗料が垂れてしまうような場所を養生しました。
養生って、ある種先に全てやってしまっているイメージがあったのですが、その時その時でやるんですね。
庇には錆止めをしている段階でしたが、軒天と外壁を塗るので養生しました。乾いているのでテープを貼っても大丈夫だと分かっていても、良いのかな?大丈夫かな、剥がれないかな?と不安がぬぐえません。
でもよく考えたら、そんなので剥がれる程度の塗装なんか、してはいけないのですから、剥がれるわけもないんですよね……。
マスカーで養生をしたのですが、もちろん明らかに短いので、伸ばしきらないようにバランスを見て伸ばし、表面だけでなくくるむように覆います。
下のほうはマスキングテープでとめる。
マスカーは一見30cmくらいなのですが、ビニール部分が折りたたまれているので、広げると1mくらいになります。
まず、縁をしっかりと指で押さえて貼り付けてから、ビッとビニール部分を伸ばす。
そして、下の方も粘着が残らないガムテープ状の養生テープでしっかりととめます。
これをびっちりと伸ばしておくのが本当に難しい…。
足場があるところは一度浮かせて、その下にビニールを通します。屋根の方がビニールより短い時は、折りたたんで長さを調節してから、テープでとめる。
当たり前のことでしたが、そっかぁ、となぜか納得したのを覚えています。
屋根の養生の時は、本当にびっくりしました。
現場は12月の頭、それこそ冬まっただ中でとても寒いので、油断して手をついたら、すっごく熱かったんです。しかも雨抑えなどの鉄部を触ったのではなくて、屋根スレートを触ってそれ。
思わず「熱っ!」と手をはなしたら、熱いから気をつけて、と笑われてしまいました。
つい好奇心に負けて鉄部を触ったら一瞬で熱くてびっくりしたので、冬でも本当に油断なりません。
今、サーモアイやキルコートなど、遮熱や断熱の塗料が人気ですが、なるほどとうなずけました。
日が当っているところはすごく熱かったくらいなのですが、逆に日が当っていない方は夜露が乾ききっていませんでした。
時間は10時近く。日も昇ってあたたかいくらいでしたが、夜露が蒸発する機会は全くありません。
手で触ると冷たい水がついて、細かく付着していた露がたまって零れていきます。夜露ってすごくたまるんですね。これが乾かないと、塗装も養生も出来ないので(テープの裏に水がついていると上手くくっつかなくて、張り付けても剥がれちゃいます)ここは見るだけでした。
熱くなっている太陽光を受けている屋根スレートと違って、ひんやりとした空気を放つ屋根は、さっき熱い思いをした分、不思議なものだなぁ、と思ったものです。
雨樋は完成はしていましたが、裏側と壁の間には十分な隙間があります。念のため、あとはきっと体験させてくれるために貼った養生が初めての体験だったので、変にしてしまわないように本当に気をつけました。職人のこと信頼しているので、ミスはカバーしてくれるものと思いますし、仕上がりにも不備はありませんが、それでも塗りやすいと塗りやすくない、は違います。
しかし、星野さんはあまりに見事な手際で、わたしも!と意気込んでみたものの、もちろん上手く出来るわけもなく……手際よくは諦めて、しっかりと塗装の邪魔にならないように止めました。