お昼休憩でエネルギーをチャージしたら、最初にパテ補修をしたバルコニーの立ち上りにウレタンの2層目を
塗布する工程に入ります。そのあと、平場にも2層目を流していくので2種類のウレタンの材料の準備からスタート。
それまで気づいていなかったのですが、島田が材料の缶を開封すると、シンナーを含ませた刷毛で
内側についている材料を下の方に落としていました。何故そうしているのか聞くと、
こういうところに残った材料が硬化不良を招く恐れがあるので、しっかり全体を撹拌できるようにするため落としているんだそうです。
平場用のウレタンは使用する量も多いので、しっかり混ぜ合わせるために缶を二つ用意してまずは一つの缶の中で主剤と硬化剤を混合。それから、もう一つの缶に移し入れて更にかき混ぜます。
これは缶の底が混ざりにくいという理由から。
このあと材料を半分に分け、それぞれにシンナーを入れて希釈後、再びよく混合します。
再びバルコニー内に入り、立ち上りにウレタンを塗布していきます。
もう一方のバルコニーに塗布した1層目用より緩いので、刷毛も動かしやすく、材料が自然に馴染むため
仕上がりもきれいです。
この塗りやすさも相まって、今回はスムーズに作業を進められたと思います。
ひとつ問題だったのは、巣穴をパテで埋めたので、その部分を踏まないように移動しなければいけない
ということでした。
もちろんその場所には材料の缶も置けないのですが、片手で持ちながらも作業ができません。
見かねた島田が腰痛がひどいにも関わらずしばらく缶を持ってくれ、その間に本田とわたしで仕上げていきました。
次は、いよいよ平場にウレタンの2層目を流し込んで最後の防水層を形成。
缶から直接ウレタンを床に流し込み、レベラーという大きなヘラで全体に行き渡らせます。
このヘラの先端には、丸みはあるものギザギザした突起があるので、動かすと線が出てしまいます。
それをローラーやコテで平らに均していきました。
平場用のウレタンを均していくときは、水面に波紋が広がるように、本当になめらかに広がっていくので見ていてとても気持ちがいいです。
島田の手さばきが素早いということを井上が伝えると、本人いわく動画や写真にしっかり映るように、かなりゆっくり動かしているとのこと。
もし一人で施工していたら、もっとスピーディーに完成させていたんでしょうね…びっくりです。
バルコニーの端には室外機があるので、その下も丁寧に塗布したら、施工箇所は残すところあとわずか。
足を床に付けないように、バルコニーの笠木と室外機を浮かせている道具の上に足を乗せて
バランスを取りながら端まで塗布していきます。相変わらずすごい体勢での作業だと思いながら動画を撮っていると、室外機が突如傾いてしまい、体勢を崩した島田がウレタンを流した床に足を着いてしまいました。わたしたちが驚いたことは言うまでもありませんが、何より今までこういうことが無かった
という本人が一番ショックを受けているようでした。
今回は研修のため、わたしたちWeb担当がいて普段と勝手が違ったり、作業がしやすいように室外機をずらしてくれたりなど、いろいろな要素が重なってハプニングが起きてしまったのだと思います。
それでも施工はしっかり終えなければなりませんので、履いていた靴下で足をぬぐいもう一度体を支えながら最後の最後まで入念にウレタンを塗布していきました。
ウレタンの2層目が完了したので、本日の主な作業は終えたことになります。
足場を降りて、いろいろな道具や材料類が置いてある場所で島田がウレタンの硬化に関する実験を披露してくれました。
彼が取り出したのは、小さな容器に移し替えられた薄い茶褐色の液体。これは促進剤と呼ばれるもので、
ウレタンの硬化速度を速めます。入れすぎるとすぐ固まってしまうので、量には注意が必要です。
一度硬化したウレタンは使用できなくなってしまうからです。
今回はどのようにウレタンが変化していくかを見るためなので、容器から直接投入して撹拌します。
固まるまでしばらく時間を置くので、その間に道具の片付けに着手しました。
施工の開始からずっと作業を追ったり、体験させてもらう中で解ったのは防水は準備に時間がかかるということ。
塗装でも塗料の希釈や撹拌作業はありますが、防水は一つの工程に使用する材料をその都度、毎回計量・希釈・撹拌して準備しているので手間のかかり方が違うと思います。
また、ウレタンが硬化してしまうので、使い終わった道具はすぐにシンナーで洗ってきれいにします。
島田は汚れてしまった軍手もすぐに捨てるのではなく、それにシンナーを含ませて缶や使った道具を洗い落として最後の最後まで大切に利用していました。
掃除が一段落ついたところで、先ほどのウレタンを見てみます。
最初は緩いとろみのあったウレタンが促進剤を入れたことで、もったりと固まっています。
缶を左右に揺らしても、固まりかけているのでゆっくりしか動きません。
ローラーを外した柄の先でツンツン触れてみると、ぷよんぷよんとウレタンが揺れます。
色味がグレーというのもあり、まるで黒ゴマ豆腐か黒ゴマムースのような状態に変化。
ゴムベラで中をかき混ぜてもらうと、底に行くにつれ凝固したようになり、ヘラが通りにくくなっていました。
塗装の材料は希釈しすぎると、耐久性の低下や性能を発揮させられないという、
すぐには目に見えない形で影響が出ます。
防水の場合は計量や希釈量のミスで、すぐに目に見えてわかる形で影響が出てくるという違いも浮き彫りになりました。
この後、別の現場に行くことになっていた曽根の車で竹内や島田より一足早く
帰路についたわたしたちWeb担当3人。
今回はローラーを転がすことも少なく、施工を見ていることが多かったためか、あまり疲労が溜まっていなかったので前回の研修時よりは元気に家に着くことができました。
普段、どちらかというと塗装の知識を重点的に身につけていたので、今回の研修では
初めて知ることがかなり多く、ありきたりな言い方にはなってしまうのですが、とても勉強になった一日でした。
塗装ももちろんですが、防水も奥が深く、様々な施工法についてや専門的な知識はまだまだなので、
今後も柔軟に吸収していこうと思います。
-----番外編----------------------------------------------------------------------------------
ここで外壁&屋根塗装班の竹内と曽根カズについても少し書きたいと思います。
今回の研修は防水がメインのため、作業の合間に見ることのできた点をお送りします。
こちらのお宅の外壁は曽根がパーフェクトフィラーで下塗りをしていました。よく見る白ではなく、
外壁より少し濃い色で塗っていたので、最初は中塗りをしているのかと思い曽根に聞いたのですが、
着色した下塗り材だったようです。(前回12月5日の現場研修時にも門塀の下塗りは着色して塗っていました。)
ローラーの入らない窓の周りは平刷毛で塗り込み、そのあと広範囲をローラーで塗っていきます。
一方竹内は軒のモルタル部を同じく下塗り。こちらでも小さな刷毛を使用して細部までしっかり塗り込んでいます。
わたしたちがクロス張りを終えたころ、竹内は屋根下の壁を塗装中。
しばらくして曽根を呼び、屋根の上に座らせます。一体何をするのだろうと見ていると、曽根が片足を下して屋根に手をかけ、その足を支えにした竹内が寝そべりながら破風下の壁塗装を始めました。
実は屋根の傾斜が急なため、寝そべりながら塗装をしようとすると、ズルズルと滑り落ちてしまう危険が
あったんですね。なので、曽根の足を支えにしていたのでした。
こういう方法は写真でも見たことがなかったので、足場も何もないようなところは最終的には
人力できっちり塗るのだなととても印象に残っている出来事でした。
その後のふたりは、断熱塗料のキルコートで塗装された屋根の縁切りをしていました。
屋根材の重なりに塗料が詰まっていると、わずかに空いた隙間から水が入って吸い上げられてしまいます。その結果、雨漏りに繋がる恐れもあるので、屋根材に隙間を開けて予防することを縁切りと言います。
ですが、おおよそ初めての塗替えで隙間が詰まることはないので、縁切りの必要性はありません。例外は、今回使用されたキルコートのように、特に厚膜に仕上がる塗料が塗布されているときや、屋根の傾斜があまりないなどが考えられます。
縁切りにはタスペーサーという資材を入れて塗装する方法と、カッターと皮スキを使って手作業で開けていく方法があり
、今回は塗装後に隙間を開けながらタスペーサーを差し込みんでいました。
途中何度も曽根が隙間を開けるカッターの刃を交換していて、すぐに折れてしまうと嘆いていました。
それくらい塗膜が強固なのだろうと思いますし、縁切りする面積も屋根全体なので膨大です。
動画で短時間の縁切り風景を見ていたときは、スムーズに開けられていると
思っていたのですが、実際はかなり地道で大変な作業のようでした。
この日、久しぶりに顔を合わせた竹内の口には立派なヒゲが蓄えられていました。
島田が言うには、クリスマスにサンタに扮して孫を喜ばせるため、ヒゲを伸ばしているんだとか。
仕事をしているときの竹内は、黙々と作業を進めていく、まさに「職人」という言葉がぴったりなイメージが
強かったのですが、実は孫をとても可愛がっている優しいおじいちゃんなんですね。
社内の飲み会に参加するときは、いつもビシッとダンディにきめているオシャレな職人でもあります。