道具も洗い終わり、次の工程の準備のため、新しく塗料の入った缶を開けると内側についていた塗料をシンナーを含ませた刷毛で落していました。
塗料を残さずに使うためかと思っていたら、全部が均等に混ざりきらないと硬化不良が起きてしまうため、缶の端についた塗料も落として混ぜ合わせる必要があるとのこと。
材料の用意1つにも見える気配りをメモした後に1回目より気負わず足場に上がると、外壁塗装を進めていたベテランの職人・竹内さんが屋根の上からカズさんを呼んでいました。
それで察したカズさんが屋根上に上がると自分の片足を伸ばした状態で竹内さんの足場になり、それを支えに作業を進める姿が。
阿吽の呼吸で作業する職人の姿を見た女子たちの口から思わず「かっこいい…!」と言葉が零れました。
屋根足場を組むほどではなく、視線を下げながら作業しないと良く見えないけれど、寝転がるとそのまま転がり落ちてしまいそうなところではこういう事もするのだそうです。
足場になっているカズさんは「結構痛いんだけどね」と苦笑い。
カズさんを足場にして竹内さんがしっかりと目で見て塗り終えた後には、サッと素早くそれぞれの作業へ戻る2人を見送りました。
外壁塗装を行っている2人の職人の息の合った作業を見終わった後は立ち上がりの塗装です。立ち上がりと言うのは写真で見る床と壁の間にある灰色の部分のこと。
かけていたブルーシートに切れ目を入れて足をかける場所を作ってもらった後で、ベランダの中へと入っていきます。
運びやすいようにカートリッジに小分けにしてくれた塗料を使って作業を進めました。
このように付ける塗料の分量は刷毛先がもったりするくらいに、たっぷり。
少しの塗料では塗っている途中にかすれてしまって、結果的に見た目にも厚さ的にも物足りない仕上がりになってしまいます。
「立ち上がりは垂れるくらいの塗料を乗せてから掃うように刷毛を動かす、そうすることで刷毛筋が目立たず綺麗に仕上がる」
そう頭で分かっていても、重力に従って塗料が落ちてくることも考えながら作業しないといけないため、コツを掴むのに苦戦していました。
その様子に島田さんが実際に隣に座って指導する場面も。時には手直しをしてもらいつつ、2人で手分けした立ち上がりが塗り終わると、また下に降りていきます。
工程の度に道具の洗浄と塗装を繰り返さないといけないため、実際の施工時間より準備に時間がかかるのだとか。
このように見えないところに手間をかければかけるほど仕上がりは綺麗になります。
次は平場用の塗料の準備していきます。平場とは床のこと。名前の通り、平たい場所です。
立ち上がりは柔らかすぎると重力に従って垂れてきてしまうので、少し硬めに用意されていますが、平場用は立ち上がりのものと比べて大分柔らかく練られています。
先ほどと同じように希釈用のシンナーを入れると硬化不良を起こさないように何度もかき混ぜていきます。
混ぜ合わせる時に使う手持ちの撹拌機は勢いがあるため、全身で押さえ付けるように使わないといけません。
男性の力でも相当な勢いに感じるそうで、気を抜くと反動で跳ねてしまいそうになる手元を抑えながら、しっかりと混ぜ合わせていきました。