13年12月9日//女子三人で防水の体験へ 04



登ったり降りたりを繰り返して、そろそろ足場の高さにも慣れてきた頃。小さな方のベランダへウレタン1層目を流し入れていきます。
一層目を塗った後にはクロスが見えていたり、下に突起物があったりして下地の状態が悪いと浮いてしまうこともありますが、
朝一番でやったパテのように手直しを加えながら更に層を重ねることで最終的には厚みのある仕上がりになります。

クロス貼りをする女性 クロスを入れながらローラーを行ったり来たりさせると皺が寄ってしまうので、ローラーを向けるのは常に自分に向けて一方向だけ。
その際、少しづつずれてきてしまうことがありますが、少し持ち上げて位置を修正することが出来ます。
どうしても消えない皺はその部分の下にローラーを当てて引くことで伸ばすことができると聞いて、実際に作業していた女子が挑戦。
クロス自体に伸縮性があるため、引っ張るとその分が伸びて、皺が消えていきました。少し残った皺もローラーでならすと目立たないほどまで綺麗に。
そうして家の歪みやクラック(ひび割れ)がおきても、この特性で対応することが出来るため、柔軟性のある仕上がりになります。

皺が出来ては引っ張り、歪んでは一度持ちあげて位置を直し…と繰り返し、残り1/3にウレタンを流すだけになったところで島田さんに交代です。
最初クロスはベランダの長さ分に切りましたが、伸ばしながら作業したため、少し長さがあまりました。その部分は鋏で丁度いいところで切り直して長さを合わせます。
足の置き場がなくなってしまうので、時には無理な体勢で作業することも…。
複雑な体勢でクロスを貼る職人 この日も半ば逆さ向きのような、私たちから見たら無理に思える体勢で1層目の仕上げをしました。パッと見るとどうやって体を支えているのか分からないくらいです。
このように端まで防水施工を行うには「どうやって出よう」と作業の道順を考えながら作業することが大事になります。
端までキッチリと塗り込み、本日の小さなベランダでの作業はひと段落。材料が乾き切った後日に次の工程を進めていきます。

主剤と硬化剤、シンナーを定められた比率で用意した後には、空気を含んでもったりと少し白っぽくなるまで平場用に材料を混ぜていきます。
こちらは大きなベランダ用の材料ですね。
広い分、用意する材料も多く大きな缶いっぱいに用意された塗料は見た目通りにとても重たくて、私の力では持ちあげるどころかその場から動かすことも出来ませんでした。
なので、あまりにも量が多い時には数缶に分けて運ぶこともあるそうです。
頭の上まで缶を押し上げて運ばないといけない時もあり、重すぎると運んでいる途中に落として大惨事…なんて事にもなるからでしょうか。
分割してもまだ重たい塗料缶をベランダまで運んだ後は、職人も思わず腰を伸ばしてストレッチしていました。

ここからは島田さんの作業を皆で見学です。
先ほど練った平場用のウレタンを流し入れてレベラーで大まかに配った後、ローラーでならしていきました。
作業の通りすがりか、ひと段落したからか、ひょっこりと顔を出したカズさん。様子を見に来てくれたようです。
足場とベランダでやりとりする職人「レッドカーペットじゃなくてウレタンカーぺットだね!」なんて言いながら島田さんと楽しそうにやり取りをした後、すぐに自分の作業に戻っていきました。
実は先ほどクロスを貼った時にも顔を見せてくれたのですが、死角になる足場を伝っていつの間にか近くにいるので、本当に神出鬼没です。

気を取り直して職人による防水施工を間近で眺めていると、やはり作業の早さが違いますね。
教えてもらいながらやっているのを見ていたからか、尚更そう感じて「やっぱり早いですね」と零したところ「普段より、めちゃくちゃ遅くやってますよ」とのこと。
本来なら5分もかからない作業だとか…。準備の方が時間がかかると聞いていたとは言え、そんなに早いなんて思っていなかったのもあり、驚きました。

ヘラでウレタンを広げる職人 そして、今まで作業をしていた女子も見学にまわったからか、作業の邪魔にならない程度に質問タイム。
今、島田さんの周りにおかれている道具は、レベラーとコテ、ローラーの3種類。
どう使い分けているのかを聞けば、レベラーで配るとギザギザの切り口から線がついてしまうためにそれを消す為にローラーを転がして、ならしているそうです。
本来ならばコテだけでも良いらしいのですが、島田さんが良くレベラーを使っているところを見ます。
レベラーとコテの使い分けは、慣れた作業だとか、作業のしやすさの違いでしょうか?
私たちの質問に答えてくれながら、コテを使った滑らかな動作で流したウレタンを広く伸ばしていきます。
ここで、先ほどの持ち方が重要に! コテをしっかりと硬く握りしめてしまうと手首を返すことができないので、動きがぎこちなくなってしまいます。
そこで指は添えるだけにして緩く持ち、手首の可動範囲を広くすることで手早く作業することが可能になるのです。
持ち方ひとつにも効率が考えられているなんて奥深い。