13年12月09日//都筑区防水塗装 見ているだけだと思ったのに!



今回見学させていただく防水施工は、戸建住宅で最も多い、ウレタン防水塗装。
ウレタン塗料を2層に塗布する防水施工です。
施工の手順は前に防水の説明をしてもらったので分かるのですが、実際に見るのは初めてです。
動画とは違う生の現場で知る事がたくさんあるだろうと少しワクワクしながら付いていきます。
実は、体動かすのは結構好きなタイプです。

家の周りに仰々しく建てられている足場は、クサビ足場と言う足場です。
ほとんどの業者がこの足場を使用するのではないでしょうか?例え素人であっても、ふらりと登れる足場は足の裏をしっかりついて歩く事が出来るので、恐怖心は和らぎます。
クサビ足場高所恐怖症でも、作業をする上では登らねばなりません。
単管足場はその名の通り鉄パイプのような単管を2本並べているだけなので、足場の不安定さは計り知れませんが、クサビ足場は、溝の蓋みたいなのが組まれているので、安心して登れます。
かく言う私たち3人も、特に苦労もなく登れました。井上さんだけは高所恐怖症もあってなかなか怖そうでしたが、それでも登れない事はありません。
クサビ足場は、揺れても傍にある単管をつかめば安定しますし、塗料缶を置けるのが何よりも良い点。
本当、落ちる事に恐怖しないで動けるって言うのは、すっごい利点です。
私はちょっと、少し時間があった時に一番上の少し不安定な足場まで登ったのですが、ぐらぐらと揺れる足場は恐怖でしかありません。
結構するすると登って行けるタイプだったのですが、そこでだけは手を離す事が出来ませんでしたもの。
恐怖で笑っちゃうくらいだったので、これが単管だったらどうなっちゃうんだろう……なんて想像もしたくありません。今でも足が竦みそう。


ベランダの縦横を図ったダイさんが、布のようなものを持って私たちに渡してきました。
はてな?と見ていれば
「これを切ってください」
と、さっそくお仕事です。
クロスは防水施工で、ウレタンやモルタルのヒビを防ぐ大切なもの。
散々見た目はガーゼみたいだと書かせていただいていますが、確かに見た目はガーゼのようなのですが、クロス自体は少々固めの素材で出来ています。
ちょうどチュールみたいな感じでしょうか。それよりは少し柔らかいかもしれません。
これを道路に広げて、メジャーとしるしを書くペン、ハサミを持って囲みます。
3人揃うとワイワイとしてしまうのは女子の悲しいところ……でもあまり騒ぎ過ぎず、連携プレーでカットしました。
ハサミは裁ちばさみと普通の挟みの中間くらいのようなもので、横幅もカットするのですが、そこは職人の小さな知恵。
しるしをつけた面を見えるようにくるくると巻いて、ばっつりとカットします。これで変に斜めにずれた側面にならないのです。

クロスのカットが終わったら、ひとまずクロスは置いて、次はウレタンの準備に入りました。
実はここが見えないけれど大変な作業で、傍で見ているしか出来ないにしても、これを一人でやるなんてとても大変だなあ、と目を丸くしてしまいました。
だって、実際連絡で来るのは塗布する前、した後、とかそういう簡単なところしかなかったんです。
当然です、誰かが撮ってくれるような環境でもありません。
いつも写真とか動画は、職人が各々の時間を割いてやってくださっているんだなあ、と実感せざるを得ませんでした。

ざっと準備だけで、軽く塗布時間の四倍は掛かります。
ガラガラと空の一斗缶を用意したダイさんが、希釈用の工具を取り出します。
ダイさんが使用していたものはウレタンがたっぷりとついて固まっていて、使用感抜群です。
少し触った後に、使えないと判断したのかそこで新しいものを取り出すのですが、
「カズさんの工具どこですか」
「車の中にあるよ」
とダイさんが取りに行って、戻ってきた束の間。
出てきたのは本当に新品そのものの道具で、ダイさんは思わず
「使ってないんですか。もったいないじゃないですか」
と笑いながらカズさんに漏らしていました。
手際良く準備を……と思ったのですが、どうやら様々なものが合わない様子。
全く分からないから本当に見ているしか出来なかったんですが、スパナを使って取り付けたり、と四苦八苦しながら取り付けた工具を置いて、キッチンで良く見る秤――の倍はありそうなサイズの秤に一斗缶を置いて、こちらを見ます。

「誰かこれ、やってみませんか」

案の定と言いますか、「やらないと分からないんで」と準備の時に言われていたので予想はしていたのですが、動揺しかありません。
希釈自体はダイさんがやってくださるし、混ぜるだけとはいえ、タダの素人なのです。プレッシャーが突然襲い掛かってきます。

正直なところ、机上旅行のようにデスクで溜めた知識はあれど、実際に混ぜてみるなんてやったこともありません。
しかも、実際の住宅の施工です。
私たちは、施工している職人がどれだけしっかり施工をしているかも、気をつけているかも知っています。
いかに職人の目の前でと言われても、やはり怖いものは怖い。
でも、ここで躓いている場合でもありません。
「じゃあ、やります」
そう言って手を上げさせてもらいました。怖いなら、しっかりと間違えないように気をつければいいのです。

それに、ダイさんの事も信頼していますので、言われた事を守って目の前でウレタンと硬化剤を空の一斗缶の中にとりわけます。
分量はいくつくらいだったでしょうか……その場で教えてもらいながら慎重に入れていたのですが、緊張しすぎて覚えていないのが残念です。
硬化剤は、水あめのような透明のもので、それもゆっくりとダイさんが見てくれる中、注ぎ込みます。
ビビって少しずつしか垂らせなかったのですが、もっと平気だと掴まれてだらだら流し込みました。
でも、逆にゆっくりと流れていくので、パッと上げても止まるわけもなさそうなのが怖いところ。
ウレタンは、少し重ための質感で、粘土よりも柔らかいけど、塗料よりは硬い…という絶妙な質感でした。
羽子板の鉄バージョンみたいな鉄ヘラで掬いあげて、それをゴムヘラで中に落としていきます。

硬化剤は水あめみたいな質感だったので、ウレタンを落としてもぴちゃりと跳ね返る事なく、逆にしっとりとウレタンを受け止めてくれる、抜群の包容力を見せてくれました。
「もう少し大丈夫ですよ」
あまりに少量ずつだったので、少し笑われつつ、よし!と気合を入れてたっぷりと突っ込みます。
ウレタンは開けた瞬間から硬化が始まるらしいので、それで少し焦っていたのかもしれません。とにかく、防水施工は手際の良さが大切なのです。
それを数回繰り返した所で、最後はたくさん掬ってから少しずつ落として、ちょうどの所で止めます。

最後にシンナーを入れるのですが、入れ過ぎるとゆるくなるし、かといって少ないとダメだし、かつ、今度は一斗缶持ち上げなきゃいけないから重いし、水みたいだから一気にこといったら怖いし……正直心の中では「もういやだ!」と叫んでいたのですが、ここまできたら最後までやるしかありません。
勢いが付かないように少しずつ垂らして、終了です。
ウレタンと硬化剤の分量に比べて、シンナーはほんの少し。
多分おおさじ三杯くらいかな?本当に少しでいいんですね。ちなみにシンナーは凄いシンナー臭でした。

全て終わって、ホッと一息ついたのも束の間。
もうここから塗料の限界のタイムリミットは火ぶたを切られています。なんてことだ。